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新潟 戸建リノベ 古民家  シニアリフォーム  性能向上戸建リノベーション 実例2

今日は、実例2を紹介したいと思います。

既存平面図
新規平面図

この物件は、どちらかというと農村部の地域でのリフォームです。

図面をご覧頂くと非常に大きな家だということがお分かりいただけると思います。

建物は、正面側が築140年、裏側の方が40年前に増築をしたお宅です。

家族構成は、年配の方が5人でお住まいです。

昨今、年配者の方のリフォームが非常に増えています。人生100年時代と言われるようになり、快適な老後を過ごしたいということでリフォームされる方が非常に多くなりました。

田舎ですので、寒い・暗い・結露、これは非常に大きな問題でした。特に、お父様が90歳を超えていまして、リフォームすることで長生きしてもらいたいという想いを込めてのリフォームです。

今回、最初にご相談を受けたのが、新築にしようかリフォームにしようかということに長く迷っていたということでした。

このお客様はとても勉強されていまして、60坪の平屋を壊して建て替えるとなると非常に金額が大きくなるということと、ご家族が年配の方々ですから、2階建てというわけにはいかない、それを考えると平屋建ての大きい家の建て替え予算というものが問題でした。建物だけでなく、その他に掛かる費用も大きくなります。

例えば、建物の解体工事費、後で掛かってくる税金、庭の修復費などもありますので、それらを考えると、やはり大規模改修というところになりました。

まず、大手リフォームメーカーさんに相談をしたそうです。営業の方は、しっかりとお客様のお話を聞いてくれたそうなんですが、お客様のご要望そのままの図面が出来てきたそうです。見積もりも提出されたのですが、本当にそれでいいのかどうなのかという不安が残りました。

やはり、プロの提案が欲しいということで、ご相談をいただきました。

その際、具体的なお話の前に、どのような住まい方をしたいのかという話をさせていただきました。

見た目がきれいになるだけのリフォームではなくて、やはり住み心地がよくなるリフォームというものをお客様はお考えでしたので、それであればしっかりとした耐震性・断熱性を確保し、あとはメンテナンスの手間と費用が掛からないようにするためにはどうするかということをふまえながらお話をさせていただきました。

最初にお話をさせていただいた際は、お客様は「中廊下が欲しい」というご要望でしたが、そうではなく、中廊下をLDKに取り込むことによって、LDKを暖めると、奥の茶の間・座敷・寝室だけでなく、トイレ・脱衣室などの水回りスペースまでも暖かくなるような使い勝手はどうですかという提案をさせていただきました。

家を拝見させていただいた際、玄関からすぐの和室10畳は、暗くて寒くていられないということで、まったく使われていませんでした。奥のLDKと増築した6畳に家族みんなが過ごしているというような状況でした。60坪の平屋建てですが、実際に家族が過ごす場所は、6畳の和室がほとんどでした。

廊下が全部で20畳以上ありましたので、もったいないということで、これをLDKに取り込んで、十分な収納もとれるような間取りのご提案を致しました。

設計で一番大事なのは、やはり動線、使い勝手の良さ、断熱、耐震を確保するということでした。それには、なるべく壁を取り払い開放的にして使い勝手を良くすること、そのために外周りにしっかりとした断熱をすることが必要でした。グラスウールではなく、より高性能な断熱を提案しました。建物が大きいので、それなりにコストが掛かりますけれども、その分のもとがとれるかというところがポイントでした。

32畳あるLDKと昔ながらの茶の間15畳との間を3枚引き戸にして、約50畳のスペースを有効に使えるような間取りの提案をさせてもらいました。

正面側は築140年で、床を剥がしたときに基礎がないことが分かりましたので、これをどのようにして補強するかというのが、実は一番大事なことでした。

最初に建物を見せてもらった時に、それをどう解決するかという話もさせていただきました。

床を剥いで、コンクリートを敷いて、石の上に柱が立っているのを、土台に全部結束して、つまり足元が開かないようなやり方で、建物が壊れにくいようにする、そのための工事が必要でしたので、そのご説明からお話しました。

このような家の設計をする上で、一番大事なのはインスペクション、つまり既存の建物の診断ですね、これが一番のポイントです。間取りと、建物の現状を確認して、どのような補強をしていけばいいのか、例えば柱を抜いても建物が弱くならないためにはどう補強して、お客様に安心していただくかということに時間を掛けて説明させていただきました。

また、壁面の断熱性能も上げましたけれども、窓面から熱が逃げやすいのでサッシも性能の良いものを使うようにしました。

この建物は新潟にあり、断熱としては5地域になりますが、熱を逃がさずに断熱性能を持たせるために樹脂サッシを使わせてもらいました。

一般的に使われる、外側アルミ・内側樹脂でLow-Eガラスのサッシと、この樹脂サッシの違いは、コストは少し上がりますが、熱が逃げる量が、月の光熱費が約1万円分くらい少なくなりますので、コストが上がった分、約10年でもとがとれるということになります。ですので、サッシにお金を掛けても、結露が起きず、カビが生えない快適な生活を送るという提案をさせていただきました。

また、間取りとしては、キッチンがLDと繋がってオープンなスペースになっています。オープンなだけでなく、背面にしっかりと収納をつくり、たくさんのものが収納できるようになっています。

LDKから物干し場、脱衣室、トイレに行くことができますので、車いすでの移動や介護のしやすさを考えて、ドアではなく、すべて引き戸という設計にしました。大きなLDKを中心として各スペースに移動できるようになっていますので、動線的にも無駄のない間取りです。

このような建物ですと、やはり耐震性も考慮する必要がありまして、ただ壁面を頑丈につくるだけではなく、制震ダンパーを取り付けることによって、瓦で頭が重くなっているような昔の家でも、揺れて元に戻るようになっています。実際に揺れたときに、頭の柱が動く量を軽減させるために耐震ダンパーを設置してあります。

更に、建物が揺れることを前提にしていますので、外壁材も堅い材料ですと割れてしまいます。そのために外周りも、揺れても割れにくい材料でEPSという断熱材を下地にして、下塗材でメッシュシートを塗り込み、表面に漆喰を塗るという工法にしてあります。漆喰も一般的なものではなく、弾性系で揺れても割れにくいものを使っていますので、窓面周辺での亀裂も起きにくいものです。

すべて提案するときには、根拠がしっかりしていないといけませんので、リフォームの際は、それらをお伝えしてご理解いただくことが大事になります。

このような大規模なリフォームをやらせて頂くことが多いのですが、一番大事なのは、住むひとの使い勝手が良くなるようにするというところです。年齢層ですとか、既存の家の使い勝手などもすべて考慮して間取りをつくらせてもらいました。

図面を比較するとお分かりいただけるように、廊下がかなり減りました。また、大きい収納を設けて棚を設置し収納量を多くして、LDKにものをおかなくてもいいような設計になっています。

やはり、大規模なリフォームをする際は、最初のインスペクションが大事です。ですので、どこに、誰に頼むかによって大きく変わります。

設計をする人が、柱を抜いたあとの補強や、耐震、断熱、間取りなど、全てを把握していないと、最善の提案をすることができません。

小規模のリフォームであれば、ある程度の知識があればできますが、大規模なリフォームの場合は、その知識経験のあるプロに相談をして任せるということが大事です。家を工事するすることではなくて、出来たあとの住み心地の良い家にするということを考えていかないといけないと思います。

この提案の際、住み心地をよくするために、家具・エアコンなどについてもお話をさせていただきました。この大きいスペースにはどのくらいの容量の暖房器具が必要なのかとか、テレビの設置場所を考えた入り口からのアプローチ、LDKには家族が寛ぐためのソファや畳スペースを設けたり、それらを図面に落とし込みながら、一家団欒ができるようなご提案になっています。

ある程度の年齢になってから家を直したいという方は特に、暖かく住み心地の良くなるリフォームをお考えいただければ、その意味と価値が十分あるのではないかと思います。

施主様のご厚意により、2月16日㊏17日㊐に見学会をさせていただくことになりました。

ご見学ご希望の方は、お問合せフォームよりご連絡下さい。折り返し詳細をご連絡させていただきます。


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