新潟から空家を考える 実家の片付け
「片づけ」から始める空き家対策
実家があってうらやましいと言われたのは、もう過去のこと。少子高齢化が進み、人生100年時代となる中、実家や空き家の片づけに頭をいためている方も多いことでしょう。しかしながら、実家や空き家の片づけを先延ばしにすると、親世代の心身の負担になるだけでなく、子世代の手間と知識とお金がかかります。
たとえ親族間で意見が分かれていたとしても、仲が良いとしても、なにはともあれ、片づけないことには、相続や葬儀、介護など山積した問題を解決することはできないのです。
今回は、できるだけ家族や親族、周りの方にとって、なるべく円満に解決する空き家の片づけの実践についてお伝えします。
■空き家長期化のリスク
【危険な実家】物が少なく、大変な時代を生きてきた高齢の方にとっては、豊かさの象徴である「物」を片づける必要性をあまり感じていない方も少なくありません。仮に、まだ空き家になっていなくても、高齢の方が住む実家には、たいがい物であふれています。
消防庁の調査によると、65歳以上の高齢者の約6割が、居室内で転倒したことが原因で、救急搬送されているといいます。高齢者はちょっとした物につまづき、転倒する可能性があります。
最近は、病院や施設よりも、在宅介護の方が増えているといわれています。ちらかった部屋での在宅介護では、介護の質も落ちてしまいます。薬の場所がわからなければ、命にかかわります。
本来、人が便利に暮らすためや、幸せをもたらすためにつくられたはずの「家」や「物」が、今は家の中に「堆積」し、命が奪われたり、けがをしたり、健康寿命を損ねることもあるというのが実態です。そんな本末転倒なことがあってはなりません。そして、家の中の物は、家族だけの問題ではありません。空き家になった家が崩れて、隣近所に迷惑をかけるということもあります。
政府の空き家率の統計にはカウントされないグレーゾーンです。
主をなくし、空き家化した家の網戸がはずれ、台風で隣の家に飛び、周りに危険を及ぼすという事態も考えられるでしょう。
次回は、「生前整理」と「遺品整理」の違いからお伝えします。
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