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新潟でリフォーム!ダメな事例       増築            2×4やプレハブ工法

今回から2回に分けて「リフォームできない家があります!」というテーマでお話します。

大規模改修の問題点についてお話をしたいと思います。問題点といいますか、大規模改修の際に考えておかなければならないこと、また、大規模改修ができない建物というものがあります。

その中で、基本的には何でもできるんだけれども、コスト的にどうなんだろうと思うこともありますので、説明したいと思います。

まず初めに、既存の建物の増築工事というものがあります。20年くらい前までは、2階に子供部屋を増築したいということで、2階を広げるなんてこともできました。私の実家も、2階に10畳くらいのスペースを増築した経験があります。これが今、非常に厄介になっています。

以前、ニュースにもなりましたが、耐震偽装という問題がありました。一級建築士が構造計算を偽造して、柱が小さいアパートやマンションをつくったということがありました。

あの影響から、非常に厳しくなりまして、例えば2階に8畳の部屋をつくりましょうというときに、昔は、役所に建築士が書類を持って行けば、普通にハンコを押してくれました。でも今は、証拠を見せて下さいと言われるようになりました。

これはどういうことかというと、例えば、柱や梁は、天井裏や床下を覗けばだいたいイメージがつくんですが、ひとつ分からないものがあります。

これは何かというと、基礎の中身です。コンクリートの基礎自体があるかないかは見れば分かりますが、基礎の中の鉄筋までちゃんとしっかりと出来ているかは、正直見ても分かりませんし、センサーを当てても分からないことがあります。センサーを当てれば鉄筋が入っているか入っていないかぐらいは分かるんですけれども、それがツルツルした丸い鉄筋なのか、それとも凸凹した鉄筋なのかということは分かりませんし、それによっても状況が違います。

また、鉄筋の太さがどれくらいなのかというのも分かりづらいものになります。さらに、鉄筋というのは、鉄筋と鉄筋を繋ぎ合わせる「重ね代」「重ね継ぎ手」というところがあるんですが、それは鉄筋の径の45倍というのが建築基準法で決められています。つまり、1㎝の径の鉄筋であれば、45㎝重ねて繋いでくださいという決まりがあるのです。これがちゃんとできているかどうかということを聞かれる訳です。また、コーナーの部分も同じように、補強筋を入れておかなければなりません。これが入っているかどうかなどということを確認される訳です。この辺りは目で見てもセンサーを当てても分からないのが現状です。

実際に元々の家を建てたときに、基礎工事の際の鉄筋の重ね継ぎ手部分にスケールを当てて測っている写真があれば、証拠となりますのでこれは2階の増築をすることが出来ます。2階を増築できるちゃんとした基礎ですねということになるんですけど、その当時のそういった写真があるというところは皆無に等しいという状態です。私も、増築の相談を受けた際に、そういう写真があったためしがありません。

役所は、増築工事をすることは可能ですよと言うんですが、現実問題、元々の資料が無いとみなされてしまって、「確認申請不適格」と判断されます。できなくはないんですが、1階の基礎の補強をしてくださいということになります。

どういうことかというと、2階を増築するために、1階の床を剥いで、基礎をもうひとつ作らなくてはいけなくなるわけです。それでまとまるようであればまだいいんですけど、これがうまくいかない場合ですと、1階の部分を壊して、総2階をつくる羽目になる訳です。そうしますと、2階に8畳を増築するために1500~2000万円という金額が掛かることになります。たいがいのお客様は、見積もりが出た段階で驚きますね。こんなに掛かるんですか?っていうことになります。

現実的には、2階の増築工事が行われないということになります。

また、1階部分の増築も同じです元々の家が地盤改良をしているところに増築しますって話になってくると、この増築する部分にも地盤改良をしっかりと行わないと、元々の家の地盤改良の保証もきかなくなります。

たいがい増築する場合は、庭の部分にすることが多いです。そうすると、地盤改良の機械がもう入らないということになります。大きい機械ですから、もう入らないということになってしまって、この地盤だけでも思った以上にお金が掛かってしますということになります。

ですので、増築工事というのは、思ったよりも費用がかかるものだと思って頂いて結構です。坪いくらの世界では全く計れないという状況になります。

「飴の銭より笹の銭」ということになりますので、極力、今の家の大きさを利用してあげて、無駄なものを削って部屋をつくっていくということをお勧めしています。

例えば、今の家の大きさを変えずに、階段の位置をずらして、一階の部分にプライベートスペースをつくって、子供部屋にするというようなやり方が非常に多くなりました。

なぜかというと、費用対効果というところになります。

なんでもそうなんですけれど、どんなことでも出来るんですけど、最終的に費用というもののバランスをみたときに、二階に8畳を足すがためにそんなにいっぱいお金は掛けられないのであれば、今の家の大きさを利用して、階段をずらすことによって、一階部分の廊下が少なくできるとか、そういう間取り変更ですね、これをうまくしてあげてプライベートスペースをつくってあげるというのが、無駄な費用が掛からなくて一番いいんじゃないでしょうか。

また、次にあげるのが、柱がない工法、鉄筋コンクリート造の壁の撤去というものがあります。

これは何かというと、元々日本の家というのは、在来工法といって、柱と壁で家を支えています。雪とかの上からの荷重は柱が支えて、地震とかそういう揺れに対しては壁の筋交いで家を守っているわけです。

ですけれども、今は2×4工法、住宅メーカーさんで建てるようなオリジナル工法というやり方があります。

たいがいのものは、柱が無くて、壁で荷重と耐震に対して支えているというものになります。

こういう工法で、間取りを変えたいというと、外周りに合板が貼られていて、合板で家がもっているのに、それを剥がさなくてはダメとなると、その時点で二階が落ちてしまうという、工事の途中の段階で問題が起きてしまうということになります。

そのために、この2×4工法やオリジナル工法というのは、基本的に間取りを変えられないということになります。

今日本では、25年で家の建て替え、30年で家の建て替えという話を聞きますが、これは25年や30年で家が悪くなる、木が腐るという問題ではなくて、たいがいは家族構成に合わなくなってしまって、家の使い勝手が悪くなって、建て替えをするというのが現状です。これは、先程お話したように、2×4工法とかオリジナル工法などというものが原因となっています。

前に私のセミナーに参加されたお客様で、住宅メーカーで建てて築5年という方がありました。

まだ築5年ですから、「どうしたんですか?」と聞きますと、40坪の家を建てて家族4人で住んでいるんだけれども、そこに母親を引き取ることになって、一階の部分に居室がないので、部屋をつくりたいということでした。

もともとLDKが大きいので、そこに一部屋つくれないかということを考えていたらしいのですが、結局、壁を壊すことができないということを住宅メーカーさんに言われたということでした。

ですので、庭に部屋をつくるという増築を住宅メーカーさんと計画したところ、10畳くらいのスペースをつくるために約2000万円という金額になるという話になったそうです。さすがにそこまでお金を掛けるというのもということで、私のところに「できませんか」という相談を頂きました。住宅メーカーで建てた既存の家とつなげて、増築部分は普通の在来工法でいいので、できませんかということで来られました。

当然、そういう工事も出来ます。出来るんですけれども、お客様に伝えたのは、元々あるLDKは庭に面していて、光が燦燦と入るようにつくってあるところに繋げて部屋をつくるとなると、LDKに二度と光が入らなくなりますよというお話をしました。

お客様は増築する部分だけを考えていた訳ですけれど、やはりいろんな話をしていくと、増築すると家の使い勝手が全然だめになるということを理解されました。

結局どうなったかというと、築5年の家を売って、違うところに新築で二世帯住宅を建てました。

こういう話は非常に多くて、25年前に2×4工法で家を建てて、家族構成が変わって、子供が結婚して一緒に住みたいという話になったんだけど、どうすればいいんだろうかなどという相談はいっぱい受けます。でも、話をしているとたいがいは、壊して二世帯住宅を建てるということになってくるのが現状です。

もともと日本の家の在来工法というやり方は、そういう間取りを変えたりするのに非常に適したやり方です。

在来工法は融通がきくんですけど、今の家というのは、構造計算したりして非常にいいんですけども、後での融通が利かずに、結局いじれない、間取りを変えられないという家がほとんどです。

やはり家というものは、何年そこに住むのか、またその家の将来の使い方を考えていかないと、子供の代でお金がいっぱい掛かってしますことになります。

やはり、建てる時に長期的な考え方をしたなかで進めて行かないとダメかなと思います。

次回につづきます。

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